ももたろう(とうきょうべん)

 

むかーし むかーし、あるところに おじいさんと おばあさんが すんでいました。

おじいさんは やまへ しばかりに おばあさんは かわへ せんたくに いきました。

おばあさんが せんたくを していると おおきな ももが

どんぶらこ〜 どんぶらこ〜 と ながれてきました。

「わあ おおきな もも これは おじいさんに みせたら きっと よろこぶだろうなあ。」

おばあさんは ももを ひろうと うちへ もってかえりました。

ゆうがた やまから おじいさんが かえってきました。

「おじいさん おじいさん、きょう かわにいったら おおきな ももが ながれて きたから

ひろってきたのよ。」

「おう、なんと おおきな ももだ。ほうちょうじゃ きれないから なたをもってきて。」

「そんなことないよ おじいさん、これでいいよ。」

おばあさんが ほうちょうを ももに あてようとすると、ももが じぶんで

すっぽーん! と われました。

なんと、なかから げんきな おとこのこの あかちゃんが でてきましたと。

「ほんぎゃあ ほんぎゃあ」

「これは かみさまの さずかりものだねえ。」

「そうね、だいじに そだてようよ おじいさん。」

「なまえは どうしようかね?ももから うまれたから ももたろうに しようか。」

「いいね。そのなまえ いいよ。」

ももたろうは 一ぱい くわせれば 一ぱいだけ、二はい くわせれば 二はいだけ、

ぐぐっと おおきくなりました。

ひとつ おしえれば 十まで おぼえるんで おじいさんも おばあさんも

「ももたろう ももたろう。」

と、かわいがって そだてました。

あるひのこと、ももたろうが あそんでいると、とびが とんできて いいました。

「ももから うまれた ももたろうさん。にしの うみの おにたちは たべるものは かすめる、

きるものは ぶんどるから みんなこまってるんだよ。」

「ひどい おにだねえ。」

「おまけに このまえ となり むらの ちょうじゃの むすめを さらっていったんだよ。

ねえ ももたろうさん、おにを たいじしてくれない?」

「おばあちゃん おれは おにがしまに いって、むすめを とりかえしてくるよ。」

「ももたろう、あなたは まだちいさいのだから。

もっと おおきく なってからに しなさい。」

「そんなことないよ おばあちゃん。おれは きめたんだよ。

きびだんご つくってね。」

そこで しかたなく おばあさんは きびだんごを こしらえました。

にしに むかって どんどん いくと いぬに であいました。

「ももたろうさん ももたろうさん どこにいくの?」

「おにがしまへ おにたいじに。」

「おともしてあげるから きびだんご ひとつ ちょうだいな。」

いぬは きびだんごを ひとつ もらって ついていきました。

やまを どんどん いくと、さるに であいました。

「ももたろうさん ももたろうさん どこにいくの?」

「おにがしまへ おにたいじに。」

「おともしてあげるから きびだんご ひとつ ちょうだいな。」

さるも きびだんごを ひとつ もらって ついていきました。

やまを ふかく どんどん いくと、きじに であいました。

「ももたろうさん ももたろうさん どこにいくの?」

「おにがしまへ おにたいじに。」

「おともしてあげるから きびだんご ひとつ ちょうだいな。」

きじも きびだんごを ひとつ もらって ついていきました。

また どんどん いくと、うみに でました。

そこで ふねに のって おにがしま めざして こぎだしました。

しまに つくと、おおきな もんが ありました。

「おい あけろよ どんどん。」

「だめだ。」

「あけないと こわすぞ どんどん。」

「あけない。」

そこで きじが へいを こえて もんばんの あかおにの

めを つつきます。

「まいった まいった。あけてやる あけてやる。」

いぬは おにどもの あしに かみつきました。

わわん わわわん わわん

さるは かおと いわず せなかと いわず ひっかきました。

きー きっきっき きー

きじは おにの めを つっつきました。

けーん けん けん

そのまに、ももたろうは さらわれた ちょうじゃの むすめを さがしました。

「おにの たいしょうは どこにいる?」

「はい。おくの ひろまで さかもりをしております。」

「なにい? ももたろうが せめてきた?

ももたろうって なんだ?」

そこに ももたろうが せめこみました。

「なあんだ にんげんの こどもじゃないか。」

おにたちは ばかに しましたが、よっぱらってるもんで こしに ちからが

はいりません。たちまち ちいさな ももたろうに

やっつけられてしまいました。

「まいった まいった たからもの やるから かんべんしてよ。」

たからものを くるまに つんで、いぬが ひっぱり、さるが あとおし、

きじが つなを ひきました。

えんやこら どっこいしょ

たからものと いっても、もとは みんなの もの。

ももたろうは それぞれ かえしてやりました。

そして、ももたろうは ちょうじゃの むすめを よめに きめ、

しあわせに くらしましたとさ。

めでたし めでたし。

おしまい。

 

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